アンダルシアの茄子

正確なタイトルは「茄子 アンダルシアの夏」。面倒だからこう呼んでる。茄子を買ってみようか悩んでいるうちに書店から消えてしまってどれ位たつだろう。

茄子 アンダルシアの夏 [DVD]

茄子 アンダルシアの夏 [DVD]

2003年頃を振り返ってみると、本作品公開前に、monoマガジンで大友さんの自転車ネタの記事に紹介されていた気がする。自転車のイラストもあり、あいつ速いんだよなぁ…的に高坂監督のことが紹介されていた。この頃は自転車は興味はあるけど…お金と時間もないし、車のほうが興味対象だった。でも黒田硫黄さんの個性のある作品には興味があったので読んだ覚えが…

さて、現在では、「自転車のことを考えない日はない」と言うほどの生活を送っている。茄子との出会いは、丁度昨年のツール・ド・フランスの時期。ANIMAXあたりで放送されており、ゴールスプリントの表現、忌野清志郎さんの歌う「自転車ショー歌」に笑いこけた。初めから見ることができなかったので、今年の1月4日 19:00からANIMAXでも放送を楽しみにしていたが、仕事の都合で見ることができなかった。そんなところで、知人のblogでは茄子を見ながらローラーを回すという話があり、これにも煽られて、何が何でも見たくなった。去年のツールのDVDを先に買おうかと思っていたんだが…こっちを先に買ってしまった。

作品はなんと「47分」という非常に短いものなんだが、自転車乗りから見たその内容の濃さは素晴らしいの一言しか出てこない。主人公のぺぺがアタックをかけるシーン、例えば、チーム監督との会話、変速レバー操作からチェーンが他のギアに掛け変わる、心拍数が上がり呼吸が早くなる、苦しそうな呼吸なんてところはちょっとオーバー目なところもあるけど、うんうんそうだよねと頷いてしまう。上りのシーンでの深い呼気、下りでの落車、どれもリアリティがある。自転車乗りの贔屓目なのかもしれないけど、比較的単純なストーリーの展開なんだけど、力強く展開してゆく。

主人公のぺぺは言う。「俺は遠くへ行きたいんだ」。男の子の多くはこれと同様のことを考えたことがあると思う。この言葉にはいろんな意味合いがあるとは思うけど、こう思ったことがあるならば一見の価値はあるかと思う。自転車乗りには二重マル。

作品の舞台は、ブエルタ・ア・エスパーニャという世界3大自転車レース。ぺぺが所属するチームのスポンサーからレース中にうっかりきり忘れた無線から解雇の言葉が。この状況からステージ優勝をもぎ取る。起死回生。ところがである。作品中にエラスチンというキャラクターが登場するが、これは実在するロベルト・エラスがモデルであり、昨年のブエルタ・ア・エスパーニャで総合優勝を飾った選手である。しかも、レース中に落車し、膝を13針縫うほどの怪我を押しての優勝。が、残念なことに、ドーピング検査で陽性反応があり、優勝の剥奪と所属チームのリベルティ・セグロスからの解雇予告となった。あの感動的な優勝は嘘であったとは思いたくない。エラス側は1/13に上告するとの声明を発表しており、今後の動向を見守って行きたい。


でも、あんなに踵が上がってクランクを回すのはないんではないかと…